ToMonteItaliaの食旅

イタリア在住のトモンテが、食を中心に、スローライフを紹介するよ

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【ダンテの日】2021年はダンテ・アリギエーリ没700周年

チャオ!トモンテです。
3月25日は「Dantedì」(ダンテの日)。2020年にイタリアで定められました。dìは、日、日付けという意味です。

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「ダンテの日」ポスター

ダンテは1265年に生まれ、1321年に亡くなりますが、正確な日付は明らかではないので、3月25日はダンテの誕生日でも命日でもありません。彼の代表作「神曲」の中で、ダンテが旅を始めたのが1300年3月25日であることが主な設定理由です。
今年2021年はダンテ没後700年となり、イタリアではテレビの特番やイベントの中継、また各地で100以上のダンテに関する企画が開催されます。尚、Covid-19感染防止対策として、全てのイベントはデジタル発信される予定です。

ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)

ダンテ・アリギエーリは、現代イタリア語の父と言われたトスカーナ州フィレンツェ出身の偉大な詩人で、ルネッサンス文化の先駆者と言われています。
政治活動に関わり、1302年政変に巻き込まれフィレンツェを永久追放され、その後放浪生活を送ることになりました。
晩年、ラヴェンナに安住の地を得、「神曲」の執筆を始めます。マラリアで亡くなった後も、ラヴェンナのお墓で永眠されています。

ダンテ・アリギエーリの子孫がヴェローナ地域に畑を購入し、以来650年以上セレーゴ・アリギェーリ伯爵家の子孫が畑を代々受け継ぎ、ワイン界に大きな影響を与え、現在も個性豊かなワインを生み出しています。高級ワイン「アマローネ」の名前の由来もこの畑にあるという説が有力だそうです。

神曲(La Divina Commedia)

「神曲」は、古代ローマの詩人ウェルギリウスと共に、地獄、煉獄、天国を旅する3篇で構成された叙事詩。言わずもがなダンテの代表作で、世界に知れた不朽の大古典です。1307年から1321年にわたって、各地を孤独に旅しながら執筆されました。
この作品に描かれたベアトリーチェへの賛美、神学論「三位一体」、帝政理念、彼を追放したフィレンツェへの罵倒を通して、波乱万丈であったダンテの人生を感じ取ることができます。
イタリアでは、学校の教科書にも取り上げられています。

多くの有名画家が「神曲」をテーマに作品を制作しています。
ボッティチェルリ「地獄の見取り図」や、バチカン博物館システィーナ礼拝堂にあるミケランジェロ作「最後の審判」の正面壁画右下部分にも、「神曲」地獄篇の様子が描かれています。

ヨーロッパとブラジルで1983年に出版されたディズニーの漫画にも、ジオパペローネ(ドナルドの伯父クルージ・マクダック)と共にダンテが描かれています。

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ダンテとジオパペローネ(クルージ・マクダック)

参考ウェブサイトのリンク
https://www.comicartfans.com/gallerypiece.asp?piece=1714331

イタリアに住んでいるからにはダンテは読んでおかねばと、数年前、筆者も日本で「神曲」地獄篇・天国篇の2冊を購入しましたが、恥ずかしながら全部は読めていません。ガルシア・ロルカは好きなので、詩が苦手というのは言い訳にならず、自分の教養の低さがネックとなっているようです。中田敦彦YouTube大学のコメント欄で「ダンテの神曲を取り上げて欲しい」と何度がリクエストしましたが、夢は叶いませんでした。

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ダンテ「神曲」地獄篇(左)と天国篇(右)

ロベルト・ベニーニ(Roberto Benigni)

トスカーナ出身の映画監督/俳優ロベルト・ベニーニは、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」で、米国アカデミー賞の主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞を受賞しています。
第二次世界大戦下のユダヤ人迫害を描いた映画の中で、筆者が最も好きな作品で、日本で1999年に公開された際、映画館で大泣きしました。なのに、観終わった後、暗く悲しい気持よりも安堵感が沸き、沢山の愛をもらいました。ベニーニ監督特有のユーモアで描かれたユダヤ系イタリア人親子の愛情物語を通して、重く残酷な歴史の事実を伝えるベニーニ氏の才能は、この作品において監督と主演の両方で発揮されました。ベニーニ監督の実際の奥様が映画でも妻役で、「ボンジョールノ!プリンチペッサ!(お姫様、おはようございます!)」と言って突如現れるベニーニ氏や、彼がイマジネーションを交えて悲劇的状況を悟られないようコミカルに子供へ説明するシーンには心打たれました。中世の街並みが現在も残るトスカーナ州のアレッツォで撮影されているので、美しい風景も堪能できます。
その後イタリアのテレビで数回観ましたが、何度観ても魅力が色褪せない素晴らしい作品です。

ライフ・イズ・ビューティフル [DVD]


またベニーニ監督は、サンレモ音楽祭で、突然女性司会者のロングドレスの中に入ったり、男性司会者の口に接吻したりと、その破天荒なパフォーマンスと、誰をも笑いに誘うユーモア満載の語り口で有名です。
何年も前からダンテの詩の朗読イベントを定期的に行っている彼は、今年3月25日、クイリナーレ宮でマッタレッラ大統領同席のもと、ダンテの「神曲」を朗読し、その様子がテレビRAI 1で19時10分より放送される予定です。

その他のダンテ・イベント


ヴェローナ大学のZoom対談動画でPupi Avati映画監督は、ダンテの生涯を描く映画を今年5月あたりから撮影予定だと言っていました。俳優Sergio Castellittoがボッカッチォ役で、ダンテの生涯について語るそうです。

また、イタリアツーリングクラブでは、会員それぞれがダンテの詩を朗読したYouTubeをアップしています。

イタリア各地のダンテ・イベントについての詳細は、こちらのリンクからどうぞ♪♪(イタリア語)
https://www.beniculturali.it/danted%C3%AC

フィレンツェのダンテの家博物館のバーチャルツアーは、こちらのリンクからどうぞ♪♪(イタリア語/一部英語)
https://www.museocasadidante.it/tour-virtuale/

まとめ

この記事では、イタリアのダンテ・アリギエーリ没700周年祭についてまとめました。

没後700周年である2021年中には、「神曲」の2冊を読破したいと思います。

そして、来年の3月25日にはCovid-19が終息し、ダンテ・イベントがデジタルでなく直接参加できるようになることを祈っています。

●参考文献: Wikipedia