ToMonteItaliaの食旅

イタリア在住のトモンテが、食を中心に、スローライフを紹介するよ

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愛の画家マルク・シャガールへのオマージュ「私と村」

3月28日は、マルク・シャガールの命日です。
マルク・シャガールはユダヤ系ロシア人の画家で、そのファンタジー溢れる夢のような作風から、「色彩の詩人」、「色彩の魔術師」と呼ばれています。

この記事では、マルク・シャガールを敬愛する筆者が、シャガールについて綴ります。

マルク・シャガール(Marc Chagall)

帝政ロシア領ヴィテブスク(現ベラルーシ・ヴィーツェプスク)で生まれた東欧系ユダヤ人画家。
同郷の妻ベラを彼女が亡くなるまで一途に敬愛し、愛や結婚をテーマとした作品を多数制作したのが、シャガールを「愛の画家」と言わしめた所以です。
ちなみにサルバドール・ダリも、妻ガラを崇高な対象として敬愛していましたね。
ダリについての過去の記事はこちらからどうぞ♪♪
tomonteitalia.hatenablog.com
パリに3度赴き、第二次世界大戦勃発後はナチスからの迫害を避けるためにアメリカへ亡命。その亡命先で最愛の妻に先立たれます。
その後ユダヤ人女性と再婚、フランスの国籍を取得しフランス永住を決め、97歳で亡くなるまで晩年を南フランスのニースで暮らしました。

シャガールが与えた影響

イタリアのサンレモ音楽祭1958年優勝曲「ボラーレ」は、アメリカでミリオンセラーを記録し、第一回グラミー賞まで受賞しました。
日本では「ボラーレ」として発売され、ジプシーキングスのカバー曲がビールのテレビCMでヒットしたこの曲、意外にもオリジナルタイトルは「Volare」ではなく、「Nel blu dipinto di blu」です。(dipintoはイタリア語で絵画)
歌手ドメニコ・モドゥーニョが歌う有名なサビ「ヴォーラーレ♪オーオ♪カーンターレ♪オ、オ、オ、オ♪」、この後半に「ネルブル♪ディピントディブル♪」と続き、これは曲中によく出て来るフレーズです。
歌詞を書いたフランコ・ミリアッチが家の部屋の壁に飾っていたシャガールの絵画「Le coq rouge dans la nuit」の夜空のブルーを見て、歌詞作りにインスピレーションを受けたそうです。
確かにシャガールの色の強みは、深いブルーにあると筆者も思います。

またシャガールは、薔薇をモチーフとしてよく描いていました。そのことから、マルク・シャガールと名付けられた薔薇もあります。

ニースの国立マルク・シャガール美術館

数年前、マルク・シャガールを丸ごと見たくなり、ライアンエアーの格安航空券をゲットし、ローマからニースへ発ち、国立マルク・シャガール美術館を訪問しました。
この美術館には、彼がフランス政府に寄贈した17点の連作「聖書のメッセージ」が展示されています。
聖書を具象化した素晴らしい大型作品を全て鑑賞した後、ビデオ上映室でシャガールのインタビューを見ました。戦時中ユダヤ人として迫害されていた過去を持つ暗さを微塵にも感じさせない彼の表情の明るさに魅了されました。話し言葉はフランス語、字幕は英語で、内容の細部は理解できなかったのですが、愛情深い眼差しと微笑み、時々見せる子供のような表情に引き込まれました。

国立マルク・シャガール美術館の詳細情報は、下記リンクの公式サイトからどうぞ♪♪(仏語/英語)
https://musees-nationaux-alpesmaritimes.fr/chagall/

シャガールへのオマージュ「私と村」

ニューヨーク近代美術館MOMA所蔵の1911年の作品「私と村」は、シャガールの生まれ故郷の村での幼少の記憶が、幻想的なイメージで構成されています。
そこには、ユダヤ教の輝く「生命の樹」とキリスト教のシンボルである十字架という相反するモチーフが混在しています。
シャガールのドロネー三角形分割は、同じキュビスムでもピカソのそれとは異なりますね。
パリで初めて、内面に秘めていた幼少時代の郷愁溢れた記憶の欠片を孵化し作品にすることができた、と本人も語っています。

この作品を画集で見て魅かれた筆者は、すぐ模写を決めました。
オリジナル作品では左の動物の顔は子羊もしくは山羊なのですが、原作を見ながら模写しているのにもかかわらず、気が付いたら牛か馬の頭になっていました。色はかなり上手く真似出来たと自負していますが、それぞれの被写体に、物悲しさ、哀愁が欠けているのが反省点です。

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マルク・シャガール「私と村」自作

油絵初心者の筆者が、ジョルジョ・デ・キリコの絵画の次にトライした模写なのですが、シャガールの作品模写の方が気持ちが癒された気がしました。
そして、自分が敬愛するアーチストと同じ制作をしていると妄想するだけで、興奮と喜びでワクワクドキドキしました。
デ・キリコについての過去の記事はこちらからどうぞ🎶
tomonteitalia.hatenablog.com

さいごに

この記事では、筆者が偏愛するシャガールについて綴りました。

大分県の湯布院にもシャガール美術館がありましたが、現代作家ギャラリー「CAFE LA RUCHE Gallery & Shop」にリニューアルされたようです。

シャガールの夢と愛に包まれた作品は、絵本の挿絵にぴったりだと思います。

シャガールの絵本?空にふわり (小学館あーとぶっく)

●参考文献: Wikipedia