ポジティブ母強し!8回目の口腔癌手術
先日、母が8回目の口腔癌手術を受けました。
約8年前に口内炎のような白く大きな出来物が口内にでき、病院で口腔癌と診断されました。
掘ちえみさんが舌癌の手術をされたことで、口腔癌が世間で話題になりましたが、母の場合舌ではなく、頬の裏側の口内に癌細胞があるのです。
癌の原因は不明ですが、部分入れ歯かもしれない、ということで、大学病院の口腔外科と歯科の両方で数年にわたり定期検診をしています。
一度だけ、耳の上からカテーテルを脳内に入れ、抗癌剤を投入する治療を行いましたが、過去の手術は全て癌細胞の摘出でした。

口内の同じ部位から癌細胞を摘出している為、必然的に傷口部分がつり、高齢なので皮膚の再生も遅いので、今回は腹部の皮を口内へ移植する手術もしたようです。
移植しないと口が充分に開けられなくなり、口の中に固形物を入れることが困難になることから、移植手術も加えたそうです。
美味しいものを食べながら好きなテレビ番組を観るのが人生の唯一の楽しみである母にとって、口で普通に食事できなくなることは大問題です。
7回目の手術後、滑舌については全く問題ありませんでした。「今回(8回目)は滑舌が若干悪くなるかも」とドクターがおっしゃっていたそうですが、「以前同様、問題なく術後も普通に話せるよ」と、母はメールに書いていました。
口に入れたチューブから体内に送られる味がしない流動食について以外は特に不満もなく、手術部位も皮を摘出した腹部も痛みはないようです。
太陽のような母
母は昔から面白くて明るく、白黒はっきりしているので、笑いにつられてこちらのモヤっとした気持が払拭させられます。
母は毎回同じ大学病院で手術入院しているので、ドクター、看護士さんとは仲良しで、周囲からアイドル並みの人気者だと言われています。
「一体どうしましょう......」と不安げにおろおろしている母を過去に一度も見たことがないので、ポジティブ思考だなぁ~と形容したことがあるのですが、母はそのカタカナ言葉が気に入ったようで、看護士さん達に「ポジティブ、ポジティブ!」と言いまくっているそうです。
母より30歳若いドクターとは、ポンポンと冗談をとばしながらタメ口で話すので、家族は検診の度にヒヤヒヤしています。

加えて、「あなたは皆を太陽のように照らしてくれる」との賛辞が達筆な筆文字で書かれた額入りの色紙を、患者さんから頂いたこともあります。
スマホで一緒に記念撮影した孫位の若い患者さんは、退院される時に母とハグして涙していたそうです。
同年代の相部屋の患者さんと連絡先を交換し、「癌友」と称して退院後も電話で交流をとったりしています。
父が癌で入院した時とは雲泥の差で、大人しくシャイで遠慮がちだった父はとても辛そうで痛々しく可愛そうでした。
ドクターから、父の寿命は長くて3ヶ月と宣告されましたが、結局3週間で帰らぬ人となってしまいました。
里帰りは据え置きに
ここ数年里帰りする目的は、スーパーでどっさり買い物をし、1人暮らしの母と家で美味しい物を食べ、テレビを見ながら毎日延々と雑談をすることです。
残念ながら、母とはコロナで2年半以上会っていません。

ワクチン接種済みの今秋こそ!と思っていましたが、入院してしまってはお見舞いさえできないことから、里帰りは来年になりそうです。
母は80代ながらガラ系携帯でメッセージを送信できるので、ほぼ毎日メールのやり取りをしています。
昔里帰りした際に、母が「これ温かいよ~、持って帰り!」と言って持たせてくれた、ウール製のお気に入りの靴下を履いて、毎日メールをせっせと送りながら、母の早い快復をただただ祈っています。
*本記事は、はてなブログ今週のお題「お気に入りの靴下」への投稿文です。