ToMonteItaliaの食旅

イタリア在住のトモンテが、食を中心に、スローライフを紹介するよ

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サルデーニャ産野菜①: 特産トマト「カモーネ」

イタリア本島中部の西側に位置するサルデーニャ島には、美味しい特産品が沢山あります。羊の乳から作ったペコリーノチーズ、カラスミの一種ボッタルガ、食後酒ミルト等々、枚挙にいとまがありません。
そこで今回は、サルデーニャ産の美味しい野菜を紹介します。

Camone(カモーネ)
イタリアでは多種類のトマトが生産されていますが、サルデーニャ島原産のトマト、Camone(カモーネ)をご存知ですか?
大きさは普通のトマトより小さくプチトマトよりも大きく、色は深緑~赤、甘酸っぱい味が濃厚で、皮も厚めです。サラダとして生で食べられています。

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カモーネ

スーパーで買ったカモーネの種部分をプランターの土に埋めて、ベランダで実験栽培してみました。幼苗はすくすく育ちましたが実が4個しか生らず、初秋に赤く熟した小さな実を収穫しました。
その後また4個実が生り、適温21度以下の12-13度でも育つ苗と聞いて数ヶ月赤くなるのを待ちましたが、年が明けた1月現在も赤くなる気配がありません....。

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自家製カモーネ

なので、食べることにしました。

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カモーネ(右未熟実2個は自家製)

家のベランダは方角的に北東にあるため、午前中しか日光が当たらず、夏場でも日照時間はMax5時間程度、それが冬には2時間弱です。

同じ日照条件でベランダ栽培したDatterini(ダッテリーニ)は、実が小さくとも取り合えず赤く熟したのに.......。無念。
中型トマトのプランター栽培に初挑戦しましたが、日照時間が短いベランダではサイズ的にミニトマトが限界であることを、今回学習しました。
tomonteitalia.hatenablog.com

自家製の真緑カモーネを、スーパーで買ったものといっしょにオリーブオイルで頂きました。自家製は想像通り不味い!!
スーパーで購入したものとは雲泥の差でした。

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カモーネ

カモーネは、イタリアのサラダ用トマトの中で、断トツに美味しいです。
まだカモーネ未経験の方、もしお店で見つけたら是非お試しを!

村上春樹とイタリア

本日1月12日は敬愛している作家村上春樹氏の誕生日で、今日で72歳を迎えられます。
村上春樹ファンの皆様と祝福の気持を共有できたらと思い、今回は春樹氏について綴りたいと思います。

  目次

デビュー作とベストセラーとの出会い

都会的でスタイリッシュな先輩数名から勧められて、デビュー作「風の歌を聴け」に興味を持ちました。実際読んでみると、日本文学独特の湿っぽさがなくドライで新しい感覚の小説だと感じ、アメリカ文学や春樹氏が育った芦屋や神戸の洗練された香りがしました。

村上春樹全作品 1979~1989〈1〉 風の歌を聴け;1973年のピンボール


その後すぐベストセラー「ノルウェイの森」を買い読み、ちょうど思春期だったこともあり、村上ワールドにどっぷりはまっていきました。依存症の始まりです。

ノルウェイの森 (講談社文庫)

作風の魅力

推理小説が好きな友人は、春樹氏の小説は何が言いたいかさっぱりわからんと言います。
個人的には物語の展開や結末よりも、春樹氏の文章の細部にわたる気配りを感じるのが心地良いのです。なので、春樹氏が選んだ言葉1つ1つに注意しながら、丁寧に時間をかけて読むことを好みます。それは丁度、耳を澄まして風の歌を聴く姿勢と似ています。

また、春樹氏の文章からはシュールな絵画が見えます。例えば「1Q84」2つの月。シュールレアリズムや形而上絵画好きの自分にとってはたまりません。この作品、オウム真理教を連想させる宗教団体も興味深いですが、個人的にはリトルピープル2つの月といったモチーフに、より惹きつけられました。

1Q84(BOOK1~3)合本版(新潮文庫)


また、タイトルに魅かれて購入した「スプートニクの恋人」には、ライカ犬は登場しないものの、ドッペルゲンガー現象が使われ、形而上芸術作品として気に入っています。

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

ジャズ喫茶経営や渋いお声で音楽ラジオのパーソナリティーをされていた春樹氏は、小説の中に音楽を小道具として頻繁に使われます。
小説の時代背景だけでなく、登場人物の描写に使われることも多い為、人物の趣味嗜好が容易に把握できます。
同時に、欧米のオールディーズ、クラシックなどの多用が、ノスタルジックな感情を刺激し、記憶の奥に輝く想い出の旅に連れて行ってくれます。

「1Q84」の大ヒットにより、小澤征爾指揮シカゴ交響楽団演奏「ヤナーチェック/シンフォニエッタ」のCDについて問い合わせが殺到し、急遽1万枚が生産、出荷されました。後にこの小説に使われたクラシックがCD化されるという、クラシック業界への相乗効果も生み出しました。

サックス演奏を趣味とするイタリア人の親戚も、春樹氏の小説はジャズの名曲が出てくるから好きだ、と語っていました。
音楽は国境を越えると言われています。
勿論本から音楽は聞こえませんが、春樹氏の小説からは心地よいBGMが流れている錯覚に陥ります。物語に音楽を取り込むことにかけて、春樹氏は天才だと思います。

音楽の多用とシュールレアリズム絵画を彷彿させる隠喩表現のとりこになっている自分にとって、村上作品は中毒性があることを実感しています。

イタリア生活

春樹氏は1987年にシチリアとローマ郊外(Prenestino)に一時滞在し、「ノルウェイの森」を執筆されていたことがあります。
イタリアとギリシャでの滞在紀「遠い太鼓」を読むと、その頃の様子がうかがえます。

遠い太鼓 (講談社文庫)


マラソン出場のためにランニングを日課にされている春樹氏が、イタリア人はいつも集団でおしゃべりしながらランニングすると記されているくだりには笑いました。
小説では粋で素敵な世界観を描かれますが、紀行やエッセイでは結構笑える話も満載で、春樹氏の多面性を感じます。中でも、春樹氏の小説からは想像できないメキシコ紀行やうどん紀行は面白いです。

イタリアでの人気

春樹氏は2019年、ラッテス・グリーンツァーネ文学賞(ラ・クエルチャ部門)を受賞され、白トリュフで有名なアルバで記念講演会をされています。
イタリアにおいて人気のある日本文学作家としては他に、三島由紀夫氏、吉本ばなな氏がいます。
三島由紀夫氏はカリスマ性と切腹自殺、右派であったことなども影響し、比較的年配の世代を中心に根強い人気があります。
現在は、春樹氏の本が書店の日本文学のコーナーで最も目立つ傾向にありますが、春樹氏よりも先に吉本ばなな氏の方が、イタリアで多くの本が出版され、若者を中心に人気が出ました。吉本ばなな氏のイタリア語翻訳版が22作品に対し、春樹氏のイタリア語版が13作品なのも関係しているかもしれません。
「ノルウェイの森」については、1993年にタイトル「Tokyo Blues」でイタリア語翻訳版として出版され、ビートルズの曲名で英語版他各国で使われている「Norwegian wood」にタイトル変更されたのは、かなり後の再出版時2006年でした。

タイトルミスはこれに限らず、坂本龍一が音楽担当、デヴィッド・ボウイと北野武が出演した大島渚監督の「映画戦場のメリークリスマス」も、「Merry Christmas Mr.Lawrence」ではなく、わざわざ日本語単語のローマ字で「Furyo 」(俘虜: 戦場で敵軍に生け捕りにされた者。捕虜)とタイトル化され、イタリア人どころかローマ字を見ただけでは日本人にも理解しにくいタイトルになっています。

ノーベル文学賞

世界各国の言語に翻訳され、世界で文学賞を受賞されている春樹氏は、国内より海外との仕事が多くなってきているそうです。
春樹氏は、日本を代表する国際的作家です。この功績から当然ながら、何回かノーベル文学賞候補になられており、未だに受賞されていないのが不思議な位です。翻訳家でもあり、アメリカ文学の影響が強すぎるのか、その理由は様々なようです。ご本人はノーベル賞に興味がないらしいですが、いつか受賞して欲しいといつも願っています。

では改めて、村上春樹様、お誕生日おめでとうございます。
今後とも益々のご活躍をお祈り致します。

そして、最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。

人生は選択の連続、そして選択はストレスの元凶

年末の大掃除やお正月に、断捨離を決意された方も多いと思います。筆者もその1人で、この時期毎年断捨離を決意しています。

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断捨離

数年前、やましたひでこさんの「新片づけ術・断捨離」と近藤麻理絵さんの「人生がときめく片づけの魔法」を買って読んで、目から鱗が落ちました。素晴らしい!救世主様!
上記2冊は、イタリア語版でも販売されています。

1日5分からの断捨離~モノが減ると、時間が増える


残念なことに、効果があったのは読書後1年間だけで、コンマリさんの衣類のたたみ方を継続実践している為クローゼットの中は比較的整頓されているものの、またスッキリしない部屋に戻ってしまいました。情けない......。(涙)

人生がときめく片づけの魔法 改訂版

断捨離で大切なことは選択です。
何を残し、何を捨てるか。
コンマリさんは、「ときめく物だけ残しましょう」と教えてくれますが、ときめかなくても無ければ困るものが多すぎ、ときめかない服を捨て新たにときめく服を買いに行ったところで、選択できない自分が見えるので、結局ショッピング自体を諦めます。
やましたひでこさん曰く、自分は過去執着型なので、ノートの殴り書きでも想い出の品は絶対捨てられません。

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想い出の品

断捨離中に悩んだ末、思い切って捨てた物を後悔する事が多々あります。選択ミスの連続。結局自分は選択が苦手なのです。

選択はストレスの元凶。
メンタリストDaigoさんも、某論文をもとに、選択するという行為はストレスの原因になる傾向が統計的に高いと、YouTubeで話していました。
スティーブ・ジョブズ氏が時間の効率化、選択からのストレスフリーを優先し、毎日同じ服を着ていたことはよく知られていますね。

しかしながら、悲しいことに、
人生は選択の連続です。

買い物は勿論、進学する学校や就職先、結婚相手といった人生を左右する重大な選択から、読む本、聴く音楽、観るテレビや映画など趣味の範疇での選択、そして、今日の食事、今日着る服など日常の小さな選択に至るまで、何も選択せずに過ごせる日なんて1日たりともありません。

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選択の毎日

選択のオンパレードの毎日において、自分が大人になったなと感じるときがあります。それは、失敗を恐れリスクが少ない安牌をとる選択をする瞬間です。いわゆる安全策、無難な方を選ぶのです。
歳を重ねると共に、経験則から失敗を避ける傾向は誰でもありますよね。なので、子供が大人に成長したというポジティブなとらえ方も勿論できます。

だた、火の星座グループを代表するような自分の性格は、元来何においてもチャレンジャーで、その激しい差に時々自分が別人になった気がします。
リスクテイカーだった自分は一体どこに消えたのか?
人より失敗を多く経験し、挫折し、不安や孤独と戦った日々。その報酬として、人とは違う個性的な人生を送っていた若き時代。
今の自分が大学生に戻ったら、イタリア生活を多分選んでないでしょう。きっと日本で若くして家庭を持ち、堅実に暮らしていたと思います。

今日も安全牌を選び、明日も安牌にすがる人生。
コロナ渦において、その傾向はますます強まりそうです。
皆様はいかがでしょうか?
 
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

*本記事は、はてなブログ今週のお題「大人になったなと感じるとき」の投稿文です。