全粒粉パンでデトックス!中種法で冬の高加水パン作り
室温が低くて生地が発酵しにくい冬は、パン作りに最も適さない季節だと一般的に言われています。
逆に高加水パン作りは、暑い季節だと水をたっぷり含んだベタベタする生地がさらに扱いづらくなりますが、冬にはそのストレスが多少軽減されます。
今回は、冬向けパン作りとして、発酵が安定する中種法を使った高加水パンレシピを紹介します。
年末年始で大食いをして太ってしまったあなた(そして私)、白いパンでなく全粒粉入りのパンを作ってデトックスしましょう!
目次
中種法とは
中種法とは、小麦粉と水の1部、イーストで発酵種を先に作り、後から小麦粉と水、副材料(塩、砂糖、油脂等)を入れるパン製法です。発酵種を寝かせる時間は、2~4時間の短時間から一晩、または数日と様々で、作るパンの種類によって異なります。発酵温度も、冷蔵庫内の5度から室温15~20度と、こちらも作るパンの種類によって違います。パンの質を均一にする為に、パン屋でよく使われる製法です。
室温で発酵させるストレート法だと寒い冬はなかなか発酵が進まないのですが、中種法を使うことによって発酵が安定します。
全粒粉とは
全粒粉とはその名の通り、小麦を丸ごと挽いて粉にしたもので、表皮や胚芽を除いて粉にした小麦粉と違い、茶色っぽい色をしています。
表皮や胚芽を含むため、食物繊維、鉄分、カルシウム、マグネシウム等の成分が豊富で栄養価が高く、小麦粉と比べカロリーや糖質はやや低めです。精米と玄米の違いとよく似ていますね。
グルテンが少ないので、もっちり感を出すために小麦粉と混ぜて使用されることが多いです。
高加水パン
ポピュラーなパンのベーカーズパーセントは、小麦粉100%に対して60%~75%が多いですが、80~90%の水を入れたものが高加水パンです。
クラムがしっとりもちもちしてパンの老化が遅いという特長がある反面、水分が多い分生地がベトベトするのが難点です。ですので、手で捏ねずカードでパンチを入れ、作業粉をたっぷり使います。
今回ご紹介するレシピでは、小麦粉(強力粉+全粒粉)全体100%に対して80%の水を入れました。
レシピ
【材料】
●強力粉 270g
●全粒粉 180g
●ドライイースト 3g
●ぬるま湯 360ml
●塩少々
【作り方】
1. 強力粉250gとイースト3gとぬるま湯200mlを粉っぽさがなくなるまでヘラで混ぜ、発酵種を作ります。蓋をして、8~10時間室温(19度位でした)で放置します。
2. 発酵種にぬるま湯160mlを注ぎ、強力粉20gと全粒粉180gを少しずつ混ぜあわせます。塩を少々加えます。タッパーの中で形を整え蓋をし、グルテンをつなげる為に30分以上放置します。
3. 小麦粉(分量外)をたっぷりふった作業台に生地を取り出します。
4. 生地を3つ折りし、つなぎ目をつまんで閉じます。両端も閉じます。
5. 閉じた面が下になるよう生地を裏返し、鉄板に置きます。
6. 乾いた布巾を被せ、約2倍になるまで発酵させます。
7. ナイフを斜め45度に傾けてクープを入れ、裂け目に水を霧吹きします。
8. 250度に予熱したオーブンで10分、温度を200度に下げ30分焼きます。
全粒粉のパンは作った翌日ぱさつく場合が多いですが、高加水にすることによってしっとり感が保てます。
デトックス効果も期待できる全粒粉を使って、皆さんもこの冬是非お試し下さい!
べファーナに甘栗とクリームチーズのラヴィオリ
1月6日は公現祭、つまり西方教会においてイエス・キリストの顕現を記念する祝日で、イタリア語でエピファニアといいます。
この日イタリアでは、魔女のベファーナが、1年間行いが良かった子供へはプレゼントを、悪かった子供には炭を与えるという伝説があり、子供達は長靴下を用意してベファーナの訪れを家で待っていました。1970年代位までは、12月25日のクリスマスにはお菓子、1月6日の公現祭にメインのプレゼントを子供達はもらっていたようです。
現在ではスーパーマーケットで、子供達に人気の様々なキャラクターのお菓子入り長靴下が、ベファーナのお菓子として販売されています。炭の形をした黒い砂糖菓子(意外に美味しい!)も売っています。
1月6日の公現祭に、スペインでは砂糖漬けフルーツで彩られた王冠型菓子パンRoscòn de Reyes(ロスコン・デ・レジェス)を、フランスではアーモンドクリーム入りパイGalette de Rois(ガレット・デ・ロア)を食べる習慣があります。
いずれにも陶器の小さな人形が1つだけ入っており、切り分けて食べた時人形が中に入っていると、1年間幸運に恵まれるそうです。
イタリアではピエモンテ州で、コインが1枚入った甘いフォカッチャがこの日に食べられます。
筆者はお菓子作りが苦手なので、今回は子供達も好きな甘いラヴィオリを紹介します。(エピファニアと無関係の創作料理です....)
ちなみにローマで最もポピュラーなラヴィオリは、リコッタチーズとほうれん草を詰めたラヴィオリのトマトソースかけです。
甘栗とクリームチーズのラヴィオリ
【材料】約4人分
パスタ
薄力粉 300g
卵 3個
塩少々
オリーブオイル少々
詰め物
茹で栗の蜂蜜漬け(甘露煮/甘栗) 適量
ストラッキーノ150g(クリームチーズやリコッタチーズでもOK)
ソース
溶かしバター、オリーブオイル、胡桃オイル等お好みで
【作り方】
1.ボウルに薄力粉を入れ、中央にくぼみを作ります。冷蔵庫から室温に戻した卵をくぼみに割り入れ、塩を少々加えます。*卵は作業の1時間前に冷蔵庫から出しておいて下さい。
2.フォークで卵を混ぜ、薄力粉に少しずつ混ぜていきます。
3.粉っぽさがなくなってきたらオリーブオイルを少し加え、手で捏ねます。
4.生地がまとまってきたらラップに包んで、30分程冷蔵庫で休ませます。
5.刻んだ栗にストラッキーノ(クリームチーズ)を混ぜます。
6.冷蔵庫から生地を取り出し2つに分け、できるだけ薄く麺棒で伸ばし、詰め物を並べて置きます。
7.パスタ生地を折りたたみます。
8.パスタをラヴィオリ用に切り、切り目のあるふち3辺をフォークで押さえて閉じます。
9.沸騰したお湯で5~8分(パスタの分厚さによります)茹で、溶かしバターかオイルをかけてお召し上がり下さい。
我が家では、胡桃オイルとオリーブオイルで頂きました。
粉チーズをふりかけても美味しいです。
皆さん、宝くじやおみくじの結果はいかがでしたでしょうか?
今晩、イタリアの年末ジャンボ宝くじの当選発表があります。
どうか当たりますように!
無観客の2021年ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート
NHKでご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、ウィーンのムジークフェラインザールで催されるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による毎年恒例のニューイヤーコンサートが、今年はコロナの影響で無観客で行われました。
世界各国からの歓喜に溢れた華やかな観客を見るのも楽しみだったので、何か物足りなさを感じました。
世界90カ国以上でテレビ放送されているこのコンサート、2002年には世界に誇る日本人マエストロ小澤征爾氏が指揮をとりました。
New Year's Concert ニューイヤーコンサート / ニューイヤー・コンサート2002 小澤征爾&ウィーン・フィル 【BLU-RAY DISC】 |
イタリアでは、13時半からテレビチャンネルRai2で、再放送として21時15分からRai5で毎年放送されます。
ワルツ王ヨハン・シュトラウス父子のワルツ、ポルカ、マーチの名曲が沢山聴けるので、毎年かかさずテレビで観ています。
筆者はピアノの英才教育を受けず、クラシック音楽にも詳しくないのですが、父が唯一持っていたクラシック音楽のレコードがヨハン・シュトラウスでした。その影響か、ワルツに憧れて若い頃社交ダンスを習ったこともありますし、ウィーンへは1人で2回も小旅行し、ヨハン・シュトラウスのコンサートだけでなく、お墓や現在博物館になっている家まで見に行きました。
本年のニューイヤーコンサートの指揮者は、今年7月に80歳を迎えるイタリア人マエストロのリッカルド・ムーティ氏でした。
今回で6回目のムーティ氏、貫禄と余裕の指揮は勿論ですが、2018年の前回よりも最後のスピーチに力が入っていました。
「昨年は皆、ひどく困難な1年を過ごしましたが、私達はまだここにいて音楽のメッセージを信じています。音楽家は腕に花を抱えている。私達は皆様に、喜び、平和、団結、永続的な相互援助と愛情を伝えたいのです。」という言葉に、コロナ終息の願いを強く感じました。
このウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの演目ですが、スタンダードなクラシック名曲演奏の間に、早い2拍子のリズムが軽快なチェコの民族舞曲、明るいポルカをはさんで盛り上げるのが特徴です。
ウィーンの宮殿内で行われる観光客向けのヨハン・シュトラウスコンサートでは、ポルカは冗談いっぱいの軽喜劇と共に演奏されます。雰囲気を盛り上げる為おもちゃのピストル等小道具も出てきたりして、指揮者と演奏者のボケとツッコミの言葉のやり取りがわからなくても充分楽しめます。
ニューイヤーコンサート終盤は通常、「美しき青きドナウ」、次に運動会の定番マーチ「ラデツキー行進曲」で締めくくられます。
まず「美しき青きドナウ」でうっとり魅了され、夢の中で自分がロングドレスをまとった可憐な貴婦人になってワルツを優雅に踊っているシーンに酔いしれます。そして「ラデツキー行進曲」で妄想から現実に引き戻され、指揮者の指示に従って、激しく、時には静かに、曲のリズムに合わせて手拍子をするのです。過去には指揮者から足拍子を要求されたコンサートもありました。
名曲の名演奏に観客が参加できるこのくだりが大好きで、昔フラメンコの歌カンテを習っていた筆者は、まるでパルマを打つように夢中になってしまうのです。
2021年の無観客のニューイヤーコンサートを観終わって感じたことは、虚しさです。演奏は素晴らしかったし、スマホやコンピュータを通して7000人のバーチャル拍手は届いたものの、観客の手拍子なしの「ラデツキー行進曲」は淋しすぎました。 このマーチを毎年元旦にテレビ視聴することで「今年も頑張ろう!」と気合いを入れていただけに、とても残念です。
早くコロナのワクチンが全世界の国民全員に行き渡り、来年のニューイヤーコンサートには観客の手拍子に合わせた「ラデツキー行進曲」を視聴できることを心から願うばかりです。