ToMonteItaliaの食旅

イタリア在住のトモンテが、食を中心に、スローライフを紹介するよ

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無観客の2021年ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート

NHKでご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、ウィーンのムジークフェラインザールで催されるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による毎年恒例のニューイヤーコンサートが、今年はコロナの影響で無観客で行われました。
世界各国からの歓喜に溢れた華やかな観客を見るのも楽しみだったので、何か物足りなさを感じました。

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無観客のムジークフェラインザール

世界90カ国以上でテレビ放送されているこのコンサート、2002年には世界に誇る日本人マエストロ小澤征爾氏が指揮をとりました。

New Year's Concert ニューイヤーコンサート / ニューイヤー・コンサート2002 小澤征爾&ウィーン・フィル 【BLU-RAY DISC】


イタリアでは、13時半からテレビチャンネルRai2で、再放送として21時15分からRai5で毎年放送されます。
ワルツ王ヨハン・シュトラウス父子のワルツポルカマーチの名曲が沢山聴けるので、毎年かかさずテレビで観ています。

筆者はピアノの英才教育を受けず、クラシック音楽にも詳しくないのですが、父が唯一持っていたクラシック音楽のレコードがヨハン・シュトラウスでした。その影響か、ワルツに憧れて若い頃社交ダンスを習ったこともありますし、ウィーンへは1人で2回も小旅行し、ヨハン・シュトラウスのコンサートだけでなく、お墓や現在博物館になっている家まで見に行きました。

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リッカルド・ムーティ氏

本年のニューイヤーコンサートの指揮者は、今年7月に80歳を迎えるイタリア人マエストロのリッカルド・ムーティ氏でした。
今回で6回目のムーティ氏、貫禄と余裕の指揮は勿論ですが、2018年の前回よりも最後のスピーチに力が入っていました。
「昨年は皆、ひどく困難な1年を過ごしましたが、私達はまだここにいて音楽のメッセージを信じています。音楽家は腕に花を抱えている。私達は皆様に、喜び、平和、団結、永続的な相互援助と愛情を伝えたいのです。」という言葉に、コロナ終息の願いを強く感じました。

ニューイヤー・コンサート2018


このウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの演目ですが、スタンダードなクラシック名曲演奏の間に、早い2拍子のリズムが軽快なチェコの民族舞曲、明るいポルカをはさんで盛り上げるのが特徴です。
ウィーンの宮殿内で行われる観光客向けのヨハン・シュトラウスコンサートでは、ポルカは冗談いっぱいの軽喜劇と共に演奏されます。雰囲気を盛り上げる為おもちゃのピストル等小道具も出てきたりして、指揮者と演奏者のボケとツッコミの言葉のやり取りがわからなくても充分楽しめます。

ニューイヤーコンサート終盤は通常、「美しき青きドナウ」、次に運動会の定番マーチラデツキー行進曲」で締めくくられます。
まず「美しき青きドナウ」でうっとり魅了され、夢の中で自分がロングドレスをまとった可憐な貴婦人になってワルツを優雅に踊っているシーンに酔いしれます。そして「ラデツキー行進曲」で妄想から現実に引き戻され、指揮者の指示に従って、激しく、時には静かに、曲のリズムに合わせて手拍子をするのです。過去には指揮者から足拍子を要求されたコンサートもありました。
名曲の名演奏に観客が参加できるこのくだりが大好きで、昔フラメンコの歌カンテを習っていた筆者は、まるでパルマを打つように夢中になってしまうのです。

2021年の無観客のニューイヤーコンサートを観終わって感じたことは、虚しさです。演奏は素晴らしかったし、スマホやコンピュータを通して7000人のバーチャル拍手は届いたものの、観客の手拍子なしの「ラデツキー行進曲」は淋しすぎました。 このマーチを毎年元旦にテレビ視聴することで「今年も頑張ろう!」と気合いを入れていただけに、とても残念です。

早くコロナのワクチンが全世界の国民全員に行き渡り、来年のニューイヤーコンサートには観客の手拍子に合わせた「ラデツキー行進曲」を視聴できることを心から願うばかりです。