ToMonteItaliaの食旅

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スペイン人俳優ハビエル・バルデム出演映画 ベスト5

今日3月1日は、スペイン人演技派俳優ハビエル・バルデムの52歳の誕生日です。
「ノー・カントリー」の殺し屋役で、スペイン人俳優として初のアカデミー助演男優賞を見事に勝ち取ったハビエル・バルデム。私生活では、トム・クルーズの元恋人だった国際的女優ペネロペ・クルスの夫です。

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ハビエル・バルデム出演映画DVD

ジョニー・デップと同レベルで好きだと言うと、「えっ?こんな野獣みたいなおっさんが?」と、友達全員から白い目で見られます。「ゲテモノ趣味」だとさえ言われます。(酷過ぎる!)
日本人から特に人気のないハビエルの本当の魅力をわかってもらいたい!という熱い想いから、この記事では、ハビエル命の筆者がお勧めする彼の出演映画5選を紹介します。

ハビエル・バルデムについて

カナリア諸島ラス・パルマス出身。祖父母の代からの芸能一家に生まれ、叔父は監督のファン・アントニオ・バルデムです。
デビュー作は、1990年のビガス・ルナ監督の映画「ルルの時代」。同監督の1992年作「ハモンハモン」ではペネロペ・クルスと共演し、スペインで有名俳優となりました。
2000年公開の「夜になる前に」で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、2007年「ノーカントリー」でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞したことで、国際的俳優として知られるようになりました。

ハビエル偏愛者お勧めの映画5選

第5位 007 スカイ・フォール
映画が公開された2012年において、北米で007シリーズとしては歴代1位の成績をマーク、イギリスで歴代興収1位となり、日本では、ダニエル・クレイグ主演の007シリーズとして最高のオープニング成績を記録し初登場1位となった作品。トルコのヴァル鉄道橋で撮影されたオープニングシーンは迫力満点です。
ハビエルは007の敵役シルヴァを演じ、英国アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされました。
崩壊した素顔をかつての上司Mに見せる金髪のハビエルはかなりグロく強烈なインパクトで、愛に枯渇している雰囲気も同時に醸し出し、その存在感に周囲が圧倒されます。
主人公の007も、完全無敵なスーパーヒーローではなく人間味溢れていて、アクション映画にしてはセンチメンタルなシーンが多く、筆者を含めアクション映画が苦手な方でも充分楽しめる映画です。

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第4位 海を飛ぶ夢

2004年の西、仏、伊合作映画。ヴェネツィア国際映画祭で男優賞を受賞。作品としては、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞の両方で、最優秀外国語映画賞受賞。
全身麻痺で26年間ベッドで寝たきりの生活を送った尊厳死活動家、ラモン・サンペドロの手記「地獄への手紙」をもとに映画化。
完全に障害者に見える程、ハビエルの演技には力が入っており、役に成りきるための研究と努力が感じられました。
尊厳死を望む主人公と彼を支える家族との衝突、途中で難病が進行し認知症になってしまう女性弁護士へ抱く切ない想い等、彼を取り巻く数々の人間ドラマが繰り広げられる中、最後は友人達の助けを借りて尊厳死を成就し、その姿をビデオに残します。
実話に基づいているためか、骨太の見ごたえがある映画で、尊厳死について深く考えるきっかけとなった作品でした。

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第3位 ライブ・フレッシュ
スペインを代表する監督ペドロ・アルモドバルの1997年公開のスペイン映画。本能で生きる典型的なスペイン人達を描く、ペドロ・アルモドバル色の強い作品です。
ハビエルが演じる役は、過去に一晩だけの関係を持った青年が無断侵入した娼婦のアパートへ救助に入る警察官。ハビエルの同僚と青年が取っ組み合いになり、その拳銃の流れ弾でハビエルは下半身が不自由になり車椅子生活を強いられますが、救助した娼婦と結婚し、青年は刑務所へ。服役を終えた青年は、娼婦を愛するがあまりストーカーをはじめます。始めは避けていた元娼婦も、次第に彼に魅かれていき、最後は彼と結ばれます。
ハビエルは、生真面目で誠実そうだが実は同僚の妻と浮気をしたことがあるという警察官を、非常に上手く演じています。

初めて観た時は、純日本人的感覚ではこうならないだろう?と切ないエンディングに悲しくなりましたが、歳を重ねて2回、3回観ると、長い人生こういうこともあるだろう、と納得する点も出てきて、何故初回であんなに泣いたんだろう?と若かりし自分を思い出させてくれる作品です。

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第2位 ノーカントリー
コーエン兄弟監督の2007年公開映画。
ハビエルは、スペイン人俳優として初のアカデミー賞(助演男優賞)、ゴールデングローブ賞(助演男優賞)を受賞し、この作品によって国際的俳優としての地位を獲得しました。
スペイン人俳優と言えばアントニオ・バンデラスが有名ですが、意外にも彼は、アカデミー賞に1度ノミネートされただけです。

ハビエルはこの作品で、精神異常者のごとく不気味な殺し屋を演じています。
変質者の雰囲気を出すために、おかっぱ頭風の変なカツラをかぶらされたそうです。(筆者は映画館で笑いを堪えるのに必死でした)
残虐でありながら、結局信号無視する車に衝突され大怪我をするといった結末で、終盤は急ぎすぎて納得のいかない箇所が若干ありました。全体としては、主役を食う存在感で迫るハビエルに、初めから最後まで釘付けになってしまう映画でした。

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第1位 夜になる前に

カストロ政権下アメリカへ亡命し最後はエイズの犠牲になる、キューバ出身の作家、詩人レイナルド・アレナスの自伝小説を、ジュリアン・シュナーベル監督が2000年に映画化しました。
スペイン人俳優として初のアカデミー賞/ゴールデングローブ賞(主演男優賞)にノミネート。ヴェネツィア国際映画祭では男優賞を受賞。アル・パチーノは映画鑑賞後、賞賛メッセージを留守番電話に残したそうです。

1994年に公開されたキューバ、メキシコ、スペイン合作映画「苺とチョコレート」でも、共産主義の男子学生と自由主義のゲイの青年がキューバを舞台に築き上げる友情が描かれていて、その作品の英語版という感じを最初は受けました。ところが観ていくうちに、こちらの作品は作家の自伝を土台としているので真に迫るものがありました。

さてハビエルは、ホモセクシュアルである主人公の役で、その繊細な性格や立ち振る舞いを見事に演じています。ジョニーデップが女装をして、ミニスカートをはいてセクシーに歩いているシーンも楽しめました。
DVDのメイキングビデオには、映画撮影終了打ち上げパーティーで酔っ払っているのかハビエルが羽目を外して踊りまくっている所が収録されていて笑えました。盛り上げ役のムードメーカーといった感じで、稀に見ぬ気さくなお人柄が垣間見れました。

1998年首都ハバナを訪れた際、沢山のキューバ人達が「1ダラー、ワンダラー」と観光客にたかりに来たこと、お店の棚に物がなかったこと、チェ・ゲバラの写真は多くの店内に飾られていてもフィデル・カストロの写真は1枚も貼られてなかったこと等、昔のキューバ旅行を思い出させてくれる作品です。

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まとめ

この記事では、ハビエル・バルデムの略歴と、筆者の独断と偏愛による彼の出演映画トップ5を紹介しました。
生理的に受け付けないと敬遠されていた方も、作品をご覧になれば、どんな役柄でもこなせる彼の幅広い演技力と魅力を理解して頂けるかと思います。
ご本人も、精神異常者、障害者、ゲイ等々、幅広い役を演ずるため、役作りの研究と観察を惜しまないと、スペインテレビのインタビューで答えていました。

ペネロペ・クルスが結婚後、さらに美しくなっていくのを見て、理解ある夫、かつ2児の良きパパであるハビエル・バルデムのお陰だろうと、筆者は確信しています。
逆に、彼は結婚後、アカデミー賞等のノミネート/受賞がぴたりとなくなっています。私生活で幸せなら構わないのですが、ファンとしては、ハリウッド映画で名演してアカデミー賞を再度受賞されることを心から願っています。