北東イタリアの鬼面祭りKrampus (クランプス)
イタリアで仮面と言えば、世界三大祭に入るヴェネツィアの幻想的なカーニバルで使われる装飾豊かな美しい仮面が有名ですね。
では、鬼のような仮面をつけたクランプスによるパレードが、毎年北東イタリアで開催されていることをご存知でしょうか?
2月2日の「鬼は外、福は内」の節分にちなんで、今回はキリスト教の伝統パレード「クランプス」について紹介します。
目次
クランプス・パレード
トレンティーノ-アルト・アディジェ州とフリウリ州、ヴェネト州一部では、毎年12月の初めの2週間、特に聖ニコラウスの帰天日6日の前夜に、聖ニコラウスと鬼仮面をつけたクランプスによるパレードが、500年以上も前から催されています。
一列目の聖ニコラウスはお菓子やささやかなプレゼントを良い子供達に渡し、次に続くクランプスは悪い子供達を見つけて罰するために、ムチを振りながら通りを練り歩きます。
その装束は、木製の仮面に羊の皮や毛と角が特徴で、ムチと鎖で武装しています。
このお祭りは北イタリアだけでなく、スロベニア、クロアチア、スイス、ドイツ等でも行われています。
ちょうど秋田県のナマハゲの西洋版みたいな感じですね。
krampus(クランプス)とは
krampusは鉤爪を意味する古高ドイツ語krampenやドイツ語krampに由来し、アルプス山脈では悪魔に似た巨大な生物を表します。
クランプスは公の場で絶対に仮面を外してはならず、観客もそれを外そうと試みてはなりません。
聖ニコラウスとは
小アジアのローマ帝国リュキアのミラで大司教を務めたことから、ミラのニコラオス、ミラの聖ニコラオと呼ばれ、イタリア語で、サン(聖)・ニコラ、もしくはサン(聖)・ニコロ、ドイツ語とラテン語で聖ニコラウスとも呼ばれています。
イタリア・プーリア州バーリへその聖遺物(不朽体)が移されたことから、クランプスパレードが開催される北東イタリアの他にプーリア州でも聖ニコラウスは重要視されています。
聖ニコラウスはサンタクロースの前身で、海外ではドイツ、スイス等で、現在も大切にされています。
聖ニコラウスにまつわる聖伝は諸説ありますが、ここでは1つだけ紹介します。
3人の娘を身売りしなければならないほど富を失った豪商の家に、12月6日、外から多額のお金を投げいれた人がいて、それが司祭ニコラウスであったとの伝説から、サンタクロースのモデルになったと言われています。
クランプス・パレード視聴
百聞は一見にしかず!
聖ニコラウスとクランプスの両方が登場する伝統的なお祭り風景を、フリウリ州タルヴィジオのYouTubeビデオでご確認下さい。
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次に、クランプスが激しく大暴れしているアルト・アディジェ地方ブレッサノーネのYouTubeビデオもお楽しみ下さい。
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最後に
トレンティーノに行った時、毎年2月頃に行われるカーニバルの木製の手作りお面が売っていました。鬼面もあったのですが自宅のインテリアにするには怖すぎるので、鼻デカおじさんの仮面を購入しました。
イタリアでは州によって食べ物が異なることは既に知られていますが、仮面を使うお祭りも地方によって全然違う雰囲気を持っています。
コロナ終息後イタリア旅行を計画される機会がありましたら、もし日程的に可能であれば、お祭りに合わせて予定を組まれると意外な発見があって面白いですよ!
*本記事は、はてなブログ今週のお題「鬼」への投稿文です。