ToMonteItaliaの食旅

イタリア在住のトモンテが、食を中心に、スローライフを紹介するよ

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ジョルジョ・デ・キリコと私

 11月20日はジョルジョ・デ・キリコの命日だ。1978年、ローマで逝去された。

私がイタリアに興味を持ったのは、ファッションやオペラや歴史ではなく、大学時代にジョルジョ・デ・キリコの絵画をニューヨーク近代美術館MOMAで発見したのがきっかけだ。
もともとダリやマグリットやシャガール等のシュールレアリズム画家を好む私は、この現実にありえない風景、形而上絵画に、すぐさま魅了されてしまった。

調べてみると、デ・キリコはシュールレアリズムムーブメントに影響を与えた画家とのことだった。

デ・キリコの絵は、人を不安にさせるメランコリーな雰囲気を漂わせている。

彼の描く広場や空にとてつもない乾いた空気を感じ、いつかイタリアへ行ってみたいと思った。

日本では中学時代に美術の授業で水彩画を描いたのが最後だったので、イタリアのカルチャースクールで油絵を半年程習い、デ・キリコの「イタリア広場」の模写をした。
初心者には、油絵の具がついた筆で真っ直ぐに線を引くことが、まず大きな壁となり、時々心が折れかけた。デ・キリコの絵画は建物が多いので、直線だらけだ。作業中、手がブルブル震えた。
また、デ・キリコの作品をご存知の方はもうおわかりだと思うが、原画を忠実に模写せず、自分の好きな乾いた広場を拡張した。模写終了後、後悔した。巨匠の作品にアレンジなど加えるものではない。

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ジョルジョ・デ・キリコ「イタリア広場」自作


デ・キリコの絵画によく登場するこの白いアーケードは、トリノのアーケードだと言われているが、私には、ムッソリーニのファシスト建築地区ローマ のエウルにある Palazzo della Civilta’ Italiana(イタリア文明宮)に見えてならない。

今年ローマでは大展覧会ラファエッロ展が開催されたが、コロナ自粛で行くことを断念した。
以前から入場券を予約購買して展覧会へ行ってきた知人は、コロナ対策として5分で1部屋をピストン式に押し出される時間制限鑑賞に、かなり憤慨していた。
通常、美術館に何時間も長居する私には、耐え難い状況だ。行かなくて良かった。

早くコロナが終息して、美術鑑賞を心置きなく出来るようになる日を夢みている。