ToMonteItaliaの食旅

イタリア在住のトモンテが、食を中心に、スローライフを紹介するよ

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【世界ロマの日】フラメンコ等ジプシー文化の考察

今日4月8日は、International Romani Day(世界ロマの日)。
ヨーロッパの移動型民族であるロマの人々が直面する差別等数々の問題について意識を高め啓発し、ロマの文化を祝う日です。

1971年4月7日~12日、世界各地のロマがロンドンに結集し、第1回「ロマ国際会議」が開催されました。その後、ポーランドで行なわれた国際ロマ連盟総会で、1990年に世界ロマの日が制定されました。

この記事では、世界ロマの日にちなみ、ジプシー文化とイタリア/ローマのロマの現状を取り上げます。

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ロマの旗

ロマとは

ジプシー集団の主に北インドのロマニ系に由来し、中東欧に居住した移動型民族。中近東や東欧を経由し、ヨーロッパや北アフリカにまでたどり着きました。
以前は、移動生活者、放浪者と見なされてきましたが、現代では定住生活をする人達も多数います。

「ジプシー」という呼称は差別用語で、国際ロマ連盟の総会において、ポリティカル・コレクトネスのため「ロマ」と正式呼称に変更されました。(単数形はロム)
日本では、90年代に流行ったワールドミュージックのバンド、ジプシーキングスのイメージがあるので、ジプシーという言葉は差別用語として認識しにくいですね。

ロマの音楽

リスト「ハンガリー狂詩曲」、ブラームス「ハンガリー舞曲」、サラサーテ「ツゴイネルワイゼン」等クラシック音楽への影響、ハンガリーのジプシー音楽やスペインのフラメンコが代表的な例として挙げられます。
フラメンコ愛好家なら、一度はアンダルシア地方グラナダにあるサクロモンテのタブラオで、ヒターノ(スペイン語でジプシーの意)のフラメンコが見たいと思うでしょう。(現在はかなり観光化されていますが)
日本でフラメンコ教室に通ったこともある筆者は、敬愛するフラメンコシンガーのカマロンや、フラメンコダンサーのカルメン・アマジャホワキン・コルテスがジプシー家系なので、ジプシーを天性のアーチスト気質と崇めてしまう傾向にあります。
スペイン人に「フラメンコ大好き!」と言っても喜んでくれる人は少なく、逆に「ジプシーの文化だからね」と冷ややかに言われたこともあります。
フラメンコ舞踏は、インド舞踊をルーツとするような手の動きがあり、またフラメンコの歌は、イスラム圏の音楽に共通する音調を持っています。
フラメンコ愛好家がスペインの次に多い日本では、舞踏だけでなくフラメンコの歌やギターのコースがあるですが、オペラの国イタリアには、フラメンコ舞踏のコースしかありません。しかも超少ないです。カリブ海やアルゼンチン好きのイタリア人には、フラメンコよりも、サルサやアルゼンチンタンゴ等のダンスの方が人気があるようです。

スペイン広場駅内で、昔ジプシーの少年が1人で時々太鼓を叩いていたのですが、あまりにも上手かったのでコインを渡して出身国を尋ねたらルーマニアでした。ルーマニアも音楽レベルが高いと実感しました。

ローマのロマ

イタリアでは、大きな空き地に中古のキャンピングカーやプレハブ小屋に住んでいる人達のことを、複数形のロマではなく、単数形のロムと呼んでいます。軽蔑を込める場合は、ズィンガロやジターノと呼んでいます。
イタリアのロマは数字で見ると他のヨーロッパ諸国と比べ数が少ないようですが、ローマに住んでいると結構見かけます。

映画「ローマの休日」の舞台となったスペイン広場に行くための地下鉄では、ジプシーの少女達が気の緩んだ観光客を標的に毎日集団スリをしています。
昔は皆ロングスカートを履いていたり、赤ちゃんを抱いていたりしていたので、身なりから判断できたのですが、現在は普通の少女達と全く同じ今風の綺麗な洋服を着ているので、見分けが付きません。ローマに今後観光で来られる予定のある方は、充分に気をつけて下さい。

ちなみに、ローマとロマはどちらもRomaと表記しますが、関係はなさそうです。

さいごに

この記事では、世界ロマの日にちなみ、音楽を中心としたジプシー文化とイタリア/ローマのロマの現状を綴りました。

イタリアではロマが集団生活しているキャンプ場の強制立ち退きが長年にわたる問題になっていますが、北アフリカからの移民問題、コロナによる経済低迷でのイタリア人の貧困化等、これら山積みの課題がいつか解決されることを願うばかりです。

そして個人的には、「ジプシー」ではなく「ロマ」という呼称に慣れるよう心がけるつもりです。

●参考文献: Wikipedia