ToMonteItaliaの食旅

イタリア在住のトモンテが、食を中心に、スローライフを紹介するよ

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【デュラム小麦/セモリナ粉】アルタムーラパンレシピ

チャオ!トモンテです。
プーリア州出身のイタリア人に、アルタムーラパンを教えてもらいました。
DOP認証されている本場のアルタムーラパンとは形が違うので、正確にはプーリア州のアルタムーラ風パンですが、とても美味しくできました。
この記事では、そのレシピを紹介します。

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自家製アルタムーラ風パン(プーリアパン)

デュラム小麦とセモリナ粉

デュラム小麦は、地中海沿岸、北アフリカ、中央アジア、アメリカ大陸で栽培され、タンパク質を多く含み、硬質小麦に分類されています。これを挽いて黄色い胚乳の粗粒として取り出したセモリナを、イタリアでは主に乾燥パスタの原材料として、アフリカではクスクスの材料として使っています。
イタリアでは、2度挽きしたセモリナ粉「Semola di grano duro rimacinato」がよく売られており、パン製造やピザの打ち粉に使われています。
セモリナ粉を使った手作りパスタについての過去の記事はこちらからどうぞ♪♪
tomonteitalia.hatenablog.com
イタリアには紛らわしくも、Semolino(セモリーノ)と Semola di grano duro(セーモラ・ディ・グラノドゥーロ)が販売されています。どちらもデュラム小麦を原料としていますが、前者の方が粒が大きくてシリアルに近く、後者はより細かく挽いているので手触りは小麦粉状です。
セモリーノは、離乳食やスープ、または、はんぺんの様な丸くて平べったい形をしたローマ風ニョッキを作るのに使われます。(しかしながら、ローマのレストランで一般的なのは、茹でたじゃがいもを潰してすいとん状にした皆が知っているニョッキです)イタリア人に聞くと、体調不良や歯が悪い時、お湯でふやかして日本のおかゆのようにして食べる、と言っていました。
乾燥パスタやパン製造には、セーモラ・ディ・グラノ・ドゥーロを使用します。
日本で販売されているセモリナ粉は、セモリーノではなく、セーモラ・ディ・グラノ・ドゥーロのようです。

カプート セモラ・リマチナータ 1kg

DOP認定されたアルタムーラパン

プーリア州にあるアルタムーラのパンは、DOP称号(Denominazione di Origine Protetta/保護指定原産地表示)を、2003年に認定されています。
セモリナ粉を使ったアルタムーラパンは、クラストは香ばしいハードタイプですが、黄色いクラムは柔らかくもちもちしています。
数年前、本場アルタムーラで購入したDOP認定のアルタムーラパンは、写真のような「牧師の帽子」と呼ばれている形でした。
ちなみに、ここローマのスーパーで売っているアルタムーラパンは、カンパーニュのような丸い形です。

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DOP認定アタムーラパン

アルタムーラパン レシピ

生地を冷蔵庫で一晩寝かせるオーバーナイト法でゆっくり発酵させグルテンをつなげ、生地を手で捏ねず折りたたむ方法で発酵中に発生したガスを抜き、生地に力をつけボリュームを出します。手で一所懸命捏ねないので楽に作れます。

今回のレシピにはレーズンを使っていますが、実際のアルタムーラパンにレーズンは入っていません。
クープが開きやすいように、耐熱容器(グラタン皿)を上下2枚重ねて使い、蓋をして焼きました。

【材料】
●デュラム小麦粉 400g
(ここではデュラム小麦を2度挽きしたセモラ・ディ・グラノ・ドゥーロ・リマチナータを使用、タンパク質14%)
●ドライイースト 2g
●砂糖 3g
(DOP認定のパンには砂糖は入っていません)
●塩 5g
●ぬるま湯 300ml
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以下お好みで、
●ドライレーズン お好みの量
●白ワイン 適量(ドライレーズン用なので水でも可)

【作り方】
1. パンを焼く前日までにレーズンを洗ってお湯に30分漬け、水切りしてから30分ザルに放置し、白ワインに漬けて冷蔵庫で保存します。ワイン漬けにしない場合、パンを焼く当日お湯で戻し、水気を切っておきます。

2. タッパーに、小麦粉、イースト、砂糖、塩を量り入れ、ぬるま湯を注ぎます。粉っぽさがなくなるまでヘラで混ぜます。

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小麦粉、塩、砂糖、イーストを混ぜる

3. カードで混ぜながら生地の形を丸く整え、蓋をして冷蔵庫に入れ、一晩寝かせます。 (できれば野菜室で12時間程度)

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まとめたパン生地

4. 翌日冷蔵庫から出し、蓋をしたまま2時間程室温に戻しながら生地を発酵させます。

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室温に戻し発酵した生地

5. 小麦粉(分量外)をたっぷりふった作業台に生地を取り出します。

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作業台に取り出したパン生地

6. 生地を手で優しく伸ばしてひろげ、水分を切ったレーズンを乗せます。

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ひろげた生地にレーズンを乗せる

7. 生地を左右から折ってたたみます。

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生地を左右から折りたたむ

8. 生地を上下から折ってたたみます。

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生地を上下から折りたたむ

9. つなぎ目が下になるように生地を裏返し、 もう一度手で優しく生地を伸ばしてひろげ、7と8の作業を行います。

10. 生地を裏返して丸くまとめます。

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裏返した生地

11. 耐熱容器にオーブンシートをひきます。

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オーブンシートをしいた耐熱グラタン皿

12. パン生地を耐熱容器に入れます。乾いた布巾、またはもう1つの耐熱容器を被せ、約2倍になるまで発酵させます。

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耐熱容器に入れた生地

13.  生地が2倍の大きさに発酵したら、小麦粉を軽くふり、ナイフを斜め45度に傾けてクープを入れます。

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クープを入れたパン生地

14. もう1つの耐熱容器で蓋をします。
 
15. 250度に予熱したオーブンで10分焼成後、温度を220度に下げ20分焼きます。その後、上下2つの耐熱容器を取り除き、オーブンシートのみ残して鉄板に乗せ10分焼きます。

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焼成30分後、上下の耐熱容器を取り除く

見た目よりもソフトで薄めのクラストと、しっとりしたクラムに仕上がりました。

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自家製アルタムーラ風パン(プーリアパン)

クラストは香ばしく、黄色いクラムは柔らかでほのかな甘みがあるアルタムーラパン、皆様も是非お試し下さい!

●セモリーノについての参考リンク(イタリア語)
Semolino
●参考文献: Wikipedia